アクセス回数
ページ作成 2006/9/8       
最終更新 2006/10/8       

オーディオケーブル

目次
はしがき
ケーブル否定論
ケーブル肯定論
肯定否定両派の確執
米国大新聞編
台湾編
追加関連URL


■ はしがき ■

オーディオ装置をつなぐケーブル、平たい言葉で言えばコード。そのケーブルを交換することによって再生音をよくするという楽しみがオーディオマニアの世界にはある。1本数万円のケーブルはザラ、数十万円ないし百万円超のコードもといケーブルもある。

しかしケーブルがオーディオの再生音にもたらす効果に関する人々の意見は一致しない。ケーブルで音が変わるという人と変わらないという人のあいだの噛み合わない議論が日本でも外国でも繰り返されている。もっとも欧米ではオーディオ業界の著名人やオーディオ雑誌が高額ケーブルの効果を否定する見解を堂々と実名で発表・掲載しているケースが多いという点で、このテーマに関して情報鎖国的な日本とは状況が異なる。このページは国外のサイトに見られる関連ページのあれこれを紹介するものである。

ケーブルの議論が噛み合わないことには種々の原因がある。例えば、人間の音の知覚には思い込みの要素が大きく、音が変わって聞こえるという経験は物理的に音が変わっていることを必ずしも意味しない。聞き取れるはずの音の差がブラインドテストでは聞き取れなかったという否定的な報告は多々あるが、肯定的な報告はほとんど見当たらない。実際に音が変わるとしても単に故意に電気特性を変えてあるケーブルだけの話で、まともに作られた通常のケーブルには音の差がないという意見もある。実際には効果のあり得る商品でも、機器のレベルその他の条件によっては効果が出ないということも考えられる。ラインケーブル、スピーカーケーブル、電源ケーブルを一律に論じることができるのかという問題もある。

以下の内容はあるところに散発的に書いた駄文に若干の補筆修正を施したものである。元々の文脈から切り離し話題の種類別に並び替えた関係で話のつながりはほとんど失われていること諒とされたい。分類も必ずしも適切なものになっていない。一切は原文に就いて確認されたい。

■ ケーブル否定論 ■

McIntosh社のコラムスピーカー(http://www.roger-russell.com/columns/columns.htm#mcintosh等を参照)の開発者Roger Russell氏も自身のサイトで“高額ケーブルバスター”を名乗り、高額ケーブルは完全に無意味と書いている。

こちらをご覧あれ:

  http://www.roger-russell.com/(トップページ)
  http://www.roger-russell.com/wire/wire.htm(ケーブルバスターのページ)

同社社長とともに行ったケーブル聞き分け実験の話、オーディオ販売業者に対する配慮のこと、オーディオ誌に堂々と載った複数のケーブル否定記事等々、少々長いが盛りだくさんの内容。

オーディオの達人たちに通常のSPケーブルや各種の高級SPケーブルを見せつつ、機器の背後に回ってケーブルを交換しては音楽を聴かせた。どの高級ケーブルを好むかについては意見が分かれたが、全員が通常のSPケーブルの音はお話にならないとして却下した。しかし、実は、最初から最後まで同じ通常のSPケーブルをつないでいた。

……という話をBelden社の人が実話として紹介し、人間は自分の期待に基づいて音を知覚するもの、とまとめている。

  http://www.rwonline.com/reference-room/wired-4-sound/rwf-lampen-July18.shtml

大方のご好評にお応えし、本日は米国の『The Audio Critic』という雑誌のご紹介。

メーカーやオーディオ評論家の利益とは無関係に純粋にオーディオの問題を考えるというスタンスの同誌の25号には「オーディオ界の騙しワースト10」と題した記事が掲載されており、“ケーブルの騙し”を“オーディオ界で最も大規模で、最も汚く、それらしい屁理屈をもったいぶって押し付け、人々を騙して最も多くの利益を上げる”最悪の騙しとして挙げている。

  http://www.theaudiocritic.com/

詳しい実験結果や議論は同誌の16号、17号に載っているとの由。

オーオタ・コムAudioholics.comに、Audioquest社に送られたメールと同社からの回答、そしてその回答をあざ笑うような突っ込みが掲載されている。

  http://www.audioholics.com/(トップページ)
  http://www.audioholics.com/FAQs/Audioquest.html(記事)

Audioquest社あてのメールの趣旨は次の通り:

  • お宅のサイトのFAQの内容は電子工学の初歩を知らない人を欺くものだ。
  • 証拠もないでたらめな話を書き立てる企業倫理感覚を疑う。
  • 事態改善のためFTC(連邦取引委員会)の介入を望む。
訴訟社会の米国でここまで書かれて裁判沙汰にならないとは……。

さらにすさまじいのは、Audioholics.comが公開している「ケーブル業者の騙しに引っかからないための10条」に対して抗議したAudioquest社とAudioholics.comとのあいだの応酬を記載したこのページ:

  http://www.audioholics.com/techtips/audioprinciples/interconnects/Audioquest_DBS.html

抗議に対する返答の一部:
  • 高額ケーブルの値段はデザインや製造のコストが多くを占めることを消費者に知らせよ。
  • 電気のことが分かった人がケーブルを設計しているのか?それなら電話で直接話をさせてくれ。
  • お宅ではちゃんと測定しているのか?当方には各種測定機器がある。お宅に理論的主張があるなら検証してやろう。

1977年に米国で製作され1980年代にかけて販売されたというABX Double Blind Comparator(ABXダブルブラインド比較機)を紹介したページ:

  http://www.provide.net/~djcarlst/abx.htm

ケーブルに関する聞き分け実験の結果はこちら:

  http://www.provide.net/~djcarlst/abx_wire.htm

関連の論文や雑誌記事のリストはこちら:

  http://www.provide.net/~djcarlst/abx_peri.htm

ケーブルの判別ができなかったのは装置のせいだという弁解の通用しないブラインドテストの実例がある。詳しくはこちらのフランス語サイトを:

  http://www.homecinema-fr.com/forum/viewtopic.php?t=29781210

実験の手順は、@まず被験者にいろいろなケーブル・装置・CDで音楽を聴かせ、ケーブルによる音の差が分かると言う組み合わせを選ぶ、そして、Aその組み合わせでブラインドテストを行う、というもの。

上記ページには機器、ケーブル、実験風景などの写真も掲載されている。

大方のご好評にお応えして洋物シリーズよりもう1件。

電源ケーブルのブラインドテストの詳細なレポートがこちらの英文サイトに:

  http://www.hometheaterhifi.com/volume_11_4/feature-article-blind-test-power-cords-12-2004.html

実験風景の写真付き。
高額ケーブルの威力を証明できるはずだったのですが結果は…。

■ ケーブル肯定論 ■

さて、大方のご好評にお応えして今回は肯定派に耳寄りな情報のご紹介。

英国の『hi-fi+』誌の34号に、6種類のケーブルを使ったリスニングテストの結果のデータとその考察が掲載されている。

  http://www.hifiplus.com/

記事の著者は、例外はあるものの高額なケーブルは音がよいとまとめている。が……

予想以上の好評にお応えして立て続けにご紹介。

今回はケーブルによって電気的特性に差があるという話で、肯定派に耳寄りな情報。

Pass Labs社の超高級アンプ(http://www.electori.co.jp/PASS/pass_xa200.html等を参照)の開発者Nelson Pass氏が各種SPケーブルの特性を測定してケーブルと音の関係を論じた論文が同社のサイトにある。

  http://www.passlabs.com/downloads/articles/spkrcabl.pdf

Pass氏がケーブル論争に関して下す結論や果たして如何に?

大方のご好評にお応えして外国かぶれシリーズより今回は肯定派に耳寄りな情報をば。

「SPケーブル対決 PART I」「同 PART II」と題した以下の記事。いずれも何ページにもわたって、多数のケーブルの電気特性の測定結果を詳細に報告している。ケーブルによっては抵抗やインダクタンスを大きく変えてあり、事実上トーンコントロールの役目を果たすケースがあるとの由。

  http://www.audioholics.com/techtips/audioprinciples/interconnects/speakercablefaceoff01.php
  http://www.audioholics.com/techtips/audioprinciples/interconnects/speakercable2p1.php

このところ多忙であまり新しい話題もないのですが、ケーブルによる音の差を力強く肯定する話があったのでご紹介。

  http://groups.google.com/group/rec.audio.high-end/browse_thread/thread/8cd42abe8f2a4b34/34b06fa33fc3ec86?lnk=gst&rnum=10#34b06fa33fc3ec86

これが事実なら、ケーブルによる音の差を頑なに否定し続けるのは単なる無知、未経験だと言われても仕方がなさそう。

Audioholics.comがある日発表した訂正謝罪記事:

  http://www.audioholics.com/news/editorials/exotic_cables.html

記事のタイトルは
「我々は誤っていた──エキゾチックなケーブルは実際に音がよかった」

高額ケーブルについて否定的な記事を書き続けていた同サイトがケーブル数本をあらためてしっかりテストしてみた結果、ケーブルにもよるものの音が明瞭になり音場感も広がることが確認できたという内容。

※英語圏では見た目が普通でないケーブルは「エキゾチックなケーブル」「デザイナーケーブル」「ブティックケーブル」などの蔑称を与えられている。

■ 肯定否定両派の確執 ■

とある英文サイトの掲示板:

  http://forum.ecoustics.com/bbs/messages/5/6528.html

このエネルギーはいったいどこからと思わせるほどの盛り上がりよう。肯定否定両派の対立の図式は日本の某掲示板と同じだが、大半のレスがまじめで長い。

Belden社の人の書いている話を上のほうで紹介したが、Dunlavy Audio Labs社のJohn Dunlavy氏(http://www.qualityhifi.nl/Producenten/Dunlavy_Audio_labs.html等を参照)の話もこれまたほぼ同じでいっそう詳細。曰く:

  • SPケーブルによる音の差は思い込み、プラシーボ効果によるもの。
  • 耳の肥えたという人を呼んで我が社で何度も実験したが、ブラインドテストではケーブルを区別できない。使うケーブルを見せて聴かせると、見栄えの立派なケーブルのとき決まって評価が高く、どのように音がいいかを詳しく語ってくれる。実際にはずっとケーブルを交換していないのに。もちろん被験者に真相は知らせない。そんなことをすれば一生恨まれる。
  • オーディオ業界関係者一同がケーブルのインチキな売り方を反省すべきだ。今のようなことを続けていては業界自体のためにならない。

Dunlavy氏の書いたケーブルに関する文章はさらに次のところにもある。

  http://www.verber.com/mark/ce/cables2.html

BAS(ボストンオーディオ協会)とAES(オーディオ工学協会)の共催による会合で発表者のTom Nousaine氏はケーブルブラインドテストの結果を披露し、“ブラインドの条件下でケーブルによる音の差を聞き分ける人は1人としていなかった”と述べて“メーカー・販売業者・評論家の高級ケーブルの話はインチキ”と非難した。同氏の次に発表をすることになっていたトランスペアレントオーディオ社の社長Jack Summer氏これを聞いて激怒し、直ちに立ち上がって曰く、“そんなことを言うなら一度我が社に来るがよい、最高級の環境で比較をさせてやろう、大きな音の差があることを知らしめてやる”。Nousaine氏もこれを聞いて顔を紅潮させて反論し、大激論に…。場は緊迫し、しかし居合わせた人々は内心どうなることかと興味津々。

さて後日約束の通り、Summer社長はNousaine氏ほかボストンオーディオ協会の会員数名を引き連れてトランスペアレントオーディオ社に向かう。やっと会社に到着したところで身銭を切ってはるばるやって来た参加者たちに向かって社長が口にした驚くべき言葉とは…?!

続きはこちらを:

  http://www.vxm.com/21R.64.html

■ 米国大新聞編 ■

お待たせしました。
大方の好評にお応えして久々に国外情報編の続きを。
今回はオーディオ関係のサイトではなく米国のニューヨークタイムズの記事。
さすがに世界的有名紙とあって一方的な主張ではないが果たしてその内容は...

  http://www.nytimes.com/library/tech/99/12/circuits/articles/23down.html

ニューヨークタイムズのサイトに初めてアクセスする場合は登録画面が出る可能性あり。登録・利用は無料。

さて感謝の念を込めて今回は米国大新聞シリーズの続編としてワシントンポスト紙より:

  http://www.washingtonpost.com/ac2/wp-dyn?pagename=article&node=&contentId=A58447-2001Jun12

かのMark Levinson氏(http://www.marklevinson.com/)の“オーディオ業界は音楽愛好家の心に付け込んで金をむさぼるえぐい業界”というコメントが紹介されていたりしてなかなか興味をそそる内容。日本の新聞や雑誌もこんな風に刺激的にならないものか。

ケーブルの話は少ないが興味があればご覧あれ。

■ 台湾編 ■

今回は趣向を変えて、世界最大の高級オーディオケーブル生産基地だという台湾のサイトより「ケーブル製造の秘密を暴く」と題した話。

  http://bbs.avtime.cn/viewthread.php?tid=113198

多数の国外高級ブランドケーブルのOEMを手がけている万隆公司の高理事長の話が紹介されている。同社では5人の研究員がケーブルの開発に当たっている。国外のブランドメーカーの中にはケーブルの設計図を送って来るところもあるが、設計の能力も持たずただ万隆が作ったケーブルに少し注文を付けて自社風に変えるだけのところが多い。イギリスの某ブランドメーカーともなるとそれだけの手間すらかけず、万隆の作ったケーブルをそのまま自社製品として販売している。そうした会社でもいかにも立派な理論や解説を付けてケーブルを売るのだから、話の真偽のほどは消費者が自分で判断するしかない。

高理事長さん、実名インタビューでそんなことを語ってよいのですか...オフレコのつもりで語ったことを書き立てられたのか...

大方のご好評にお応えして今回は再び台湾より『音響論壇』という雑誌の139号に載った高級ケーブルをめぐる裏話。

台湾のある男、Audioquest社の一番安いSPケーブルの上に太い被覆をかぶせて両端にいかついプラグを取り付け、ペア5万円で売り出した。さらなるグレードアップを望むオーディオマニアの声にオーディオ卸からは、“もっと高級なケーブルはないか”との打診。男は速攻電器金属街に出向き、フレキシブルチューブを買って来て前と同じケーブルにかぶせ、今度は10万円で売り出した。まさかそんなもので音は変わらないだろうと知人に問われてその男、“オーディオマニアはもちろん違いが分かる、10万円のケーブルのほうが格段に音がいいと連中は言っている”と涙を流して大笑い。その後ケーブルはいっそう勇猛な外見となり、豪華木箱に納めて数十万円の価格で販売されることに…。

  http://audioart.audionet.com.tw/(『音響論壇』トップページ)
  http://audioart.audionet.com.tw/139/%B8%D5%A5%CE%B3%F8%A7i/Power%20Source.htm(記事)

大方のご好評にお応えして、本日は台湾のオーディオメーカーのサイトに掲載されている「高級オーディオに客観的な基準はあるか?」と題した文章の一節。

イギリスのあるオーディオメーカーの株主会で、アジア人のうち台湾人、日本人、香港人ではどれがいちばん騙されやすいか、耳が悪くて外国ブランドをありがたがるかという話になった。議論のあと決を採ったところ、1位は日本人だった(2位は台湾人)。日本は国土が狭いのに人口が多いため住居は極端に狭い。日本でよく知られた『Stereo Sound』誌の試聴室は6坪もない。スピーカは後ろや横の壁からろくに離れておらず、左右のスピーカーの距離も1メートルもない。これではどんな機器をつないだところで大した音の差が出るはずもない。

……と言いたい放題。まあどうかと思うところもあるが、あながち的外れな評価、意見でもないかも。ケーブル限定の話ではないが、詳しくはこちらを:

  http://www.acanddc.com/(龍音公司・交直流音響研究室トップページ)
  http://www.acanddc.com/dpage00.htm(記事)

大方のご好評にお応えして再び台湾シリーズを。
今回は台湾版Yahoo!知恵袋からオーディオマニアを父に持つ娘(息子かも)の相談事:

  http://tw.knowledge.yahoo.com/question/?qid=1106081101502

> オーディオマニアの皆様こんにちは。
> 私の父は50万元(=200万円弱)も使ってケーブルを買いましたのに
> 今では使いもしないものが多く家に置いておくのも邪魔ですので
> 母も売ってしまいたいと申しております。
> どこで売るのが一番よろしいのでしょうか?

どなたか教えてあげるか買って差し上げては? …と言うまでもなく実は午前2時の相談に早朝には反応があり、その人が買い取った模様。早い!

台湾のサイトにあった電源へのこだわり。
かりにこれで音がよくなるとしてもこんな家に住むのは…

  http://www.joyaudio.idv.tw/forum/topic.asp?TOPIC_ID=7688

文字化けの場合はエンコードを繁体字中国語に。

■ 追加関連URL ■

・ケーブルをめぐる論争
  http://www.audioasylum.com/scripts/t.pl?f=cables&m=88271
  http://archive.audioreview.com/03/0EF8FB59.php
  http://www.polkaudio.com/forums/showthread.php?t=13515
  http://www.myav.com.tw/forum/showthread.php?threadid=236596(台湾)

・ブラインドテストをめぐる論争
  http://forum.stereophile.com/forum/showflat.php?Cat=0&Number=108&page=2&fpart=all&vc=1
  http://ryxi.com/audio/161-053-dbt-in-audio-a-protocol-read.shtml

・関連記事の目次など
  http://www.audioholics.com/techtips/audioprinciples/cables.htm
  http://www.rwonline.com/reference-room/wired-4-sound/
  http://www.audioasylum.com/audio/cables/bbs.html
  http://groups.google.com/group/rec.audio.high-end/search?q=speaker+cable
  http://groups.google.com/group/rec.audio.pro/search?q=speaker+cable


inserted by FC2 system